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大阪製作所  社内紙

「一粒の種から」
98年09月発行   第85号


1部  ・中小企業における「実践的技術開発法の一例」〜二代目経営者の挑戦
 2部     ・製造業にとってインターネットは金になるのか〜二代目経営者の考察
 
これは、大阪の中小企業振興協会さんが主催して
98年9月17日、大阪キャッスルホテルで行われた
「平成10年度 経営基盤・技術向上等研究会」で
講師として私(後藤良一)が講演したものです。
その中の2部でお話しした
・製造業にとってインターネットは金になるのか〜二代目経営者の考察
の講演原稿を今回の「一粒の種から」に掲載しました。
 
 A 製造業にとってインターネットは金になるのか〜二代目経営者の考察
 
はじめに

新聞紙上やビジネス雑誌で「インターネット」と言う言葉が出て来ない日は有りません。
情報化の波があらゆる分野に及んでいる近頃、その情報化の波の中で最も注目を浴びているのがインターネットの世界とも言えます。

しかし、我々、中小製造業にとってインターネットは、「本当に金になるのか?」

どれぐらいのコストが掛かり、どれぐらいの利益を生むのか? また、どう言う使い方が出来るのだろうか? などの疑問が沸いて来ます。
これから短い時間ではありますが、自社製品を持たない小さな下請け企業である、われわれがホームページを開設して、
運営している中から学んだ、事をお話しいたします。
 

インターネットビジネスとは?

インターネットの発展はもともとアメリカで軍事用に使用していた情報ネットワークを、一般の大学
や民間研究機関の研究者同志の「情報交換の道具」としたところから、「これは便利だ」と言う事で大いに発展して来ました。
ここが重要なポイントなのですが、もともとが、「情報の相互交換が目的」だったのです。

一般に言われるインターネットビジネスには、「商品の販売」と「情報の提供サービス」があります

「商品の販売」で成功しているのははコンピュータメーカーやコンピュータソフトを作っている会社、またアダルト関係、書籍などの業種です。

また、「情報の提供サービス」としては、膨大な量のホームページを分類する“検索エンジン”と呼ばれる情報サービス、就職情報サービス、旅行情報サービスなどで成功し出している様です。

しかし、インターネットを使っての「お金もうけ」と言っても実際の成功例は、まだまだごくわずかなものです。
難しいと言われる「商品の販売」では一部の大手企業は成功を収めつつ有るようですが、
一般の企業では月百万円の売り上げが有れば大成功した、と言われるのがインターネットビジネスの現状です。

始めに、結論を申しますと、「商品の販売」は一部業種、例えばアダルトとかコンピューター業界が成功しているに過ぎません。
現在では「商品の販売」を成功させる事は非常に難しいのが現状です。

では、我々中小企業では、特に「製造業」では、インターネットを使うメリット有るのでしょうか?
大阪弁で言えば「製造業にとってインターネットでホンマに儲かるんかいな?」といった事について、わたしの考えをお話ししようと思います。

こんなに安いホームページ構築費用  (「百聞は一験にしかず」)

今、お配りした資料の表紙がわたしの会社のホームページです。
わたしどもの、会社の技術的特徴や、会社概要、設備、また、企業イメージを作るための
社内紙「一粒の種から」などの情報を載せています。 立ち上げたのは昨年(97年)の11月です。

みなさんは、今、自社のホームページを作るのにどれくらいお金が掛かると思われますか?

ちなみに、平成8年3月に、今から2年半程前ですね。「マイドームおおさか情報セミナー」の
「中小企業のためのインターネット活用・体験セミナー」に、わたしが参加した時には

基本的な構築費(コンピューターなど)が50万円、そして毎月の通信費が月3万、自社のホームページを外注で作ってもらうと
1ページ2万〜10万、そのホームページをおいておく場所もサーバーなら月200万円は掛かると、講師の方はおっしゃっていました。
合計しましたら、なんと構築費が250万円〜400万円です。維持費が月5万〜20万、にもなります。

私の場合はどうだったでしょう?
 

わたしが自社のホームページを立ち上げた時は、基本的機器20万、通信費毎月1万円ほど。
ホームページはわたしが作ったので外注費0円、(ただし時間はかかりました)
ホームページをおいておく場所もレンタルスペースサービスですので月3000円でした。
合計、構築費(コンピューター含む)が21万、維持費が月1万3000円程でした。

なんと、250万円〜400万円掛ると言われていたものが23万円程の費用で出来てしまいました。
コンピュータ世界の進歩は「日進月歩」ならぬ「秒進分歩」なのだと、わたし自身、実感したものでした、構築費用が、なんと2年半で10分の1から20分の1になっているのです。

もちろん、プロに作って頂くホームページは「秒進分歩」の技術革新の世界ですからもっと手の混んだすばらしい物もありますが、企業情報を発信するだけなら、70%程の出来のモノが、自分で簡単に作れます。

結論

心配しなくても、自社のホームページを作るに、お金はほとんど掛かりません。
やってみるか、やらないかただそれだけですので、ぜひ、ご自分で体験してみてください。
「百聞は一験にしかず」です。

中小製造業はインターネットで何が出来るか。

では、われわれ中小製造業がインターネットを使って何が出来るのでしょうか?
わたしは次にあげる6点が現在もっとも早く成果のあげられる物だと思っています。

・ 企業情報発信
・ 企業イメージの構築
・ 企業情報の相互発信、受信
・ 得意先情報収集
・ 技術開発の支援
・ 「求人」

全てが「情報の発信や受信」がキーワードです。
「情報の発信」には、いろいろな媒体が有りますがインターネットを使う利点はどの様な物でしょう。

@ 費用が比較的安い
中小企業振興協会さんなど公的機関を利用する場合はほとんど費用は掛かりませんが
一般に、業界新聞などに広告を売った場合、大きさ10センチ*6センチのスペースに7万円以上の費用が掛かります。
年間数回打つとなると相当の出費となるでしょう。また、情報量も限られています。
インターネットの場合、A4程度の大きさでしたら80枚〜100枚程度、文章だけなら200枚以上は月額3000円程度の出費で済みます
(最低限を自分で作ったとして)

A カラー写真や図など多彩な表現が可能
カラー写真は、もちろん、動画や図や表などいろんな表現で情報発信が出来ます。
製造業などでは、自社設備の写真や、加工製品の写真などをのせて、会社の内容などを詳しく伝えている企業がたくさんあります。

B 情報を随時更新して行ける
 新しい機械が入ればすぐに写真を公開したり、新しい技術を開発すれば発表したり、自由に最新情報を発進する事ができます。
印刷物によるパンフレットなどではなかなか出来ないことではないでしょうか?

C 「情報」のネットワーク化による相互発進、受信
中小製造業にとって、「企業情報の相互発信、相互受信」が、今後もっとも重要になって来ると思います。
なぜ「企業情報の相互発進、相互受信」が重要なのかを、次にお話したいと思います。

中小製造業は「企業情報の相互発信、受信」に力を注げ

皆さんは、「大手メーカーですらインターネットビジネスを成功させていないのに、
どうやって、我々、中小製造業者が成功するねん」と言った疑問をお持ちでしょう。

しかし、インターネットの歴史は、「情報の相互交換」から始まった事を思い出してください。

我々、下請け製造業者は、なにも無理して「モノを売る」必要は全く無いのです。
自社の得意な技術、やこんな事が出来ますよと言った設備などの「情報」を発進して行けば良いのです。

次の資料E−@からE−Dまでをごらんください。
(第2回FRIインターネットユーザー調査  FUJITSU RESEARCH INSTITUTE (C)1998 から引用)

これはネット上で公開されていた「インターネットユーザー調査」
です。企業が、インターネットを新たな消費者市場と見た場合の、ビジネスの可能性を探る事を目的に、実施されたものです。

ここで、資料E−Cの下に書かれている「地域比率の変化」と言うグラフに注目してください、
調査の「解答者」の地域別の比率ですが

圧倒的に関東が多いことに気が付きます。
やはり、関東は「情報発進」の先進地域なのです。

近畿は、だいたい2番目に解答者が多い事に気が付きます。
これは、このアンケートだけではなくあらゆるアンケートを見てみても同じ結果がでています。

なぜなら、これは、地域別のインターネット「利用者」の数と一致するからです。
100人いれば約50パーセントは関東の人間で、近畿は17パーセントの人間がインターネットを利用していると言った事なのです。

少し、飛びますが資料Fをごらんください。

関東の中小企業は、大手企業や仲間同志がインターネットを使って実際に「情報の収集」を行っていることを知って、
インターネットを「情報発進の道具」として大いに利用しようと模索中です。
日刊工業新聞の”東京の中小企業の主な「共同受注グループ」”の記事ですが、
表の下2つのグループ(B−NETさんNCネットワークさん)は、ホームページのアドレスが書かれているので、
ホームページを開設している事が分かりますが、

他13グループはホームページを開設していないのでしょうか??

実は、インターネットで調べますと、皆さんホームページを持たれているか、グループ企業情報をのインターネット上で公開されています。
情報先進地域で有る関東の企業は、動き始めているのです。

今後、物流や通信インフラが発展し、地域に対するボーダレス化が進んで行きます。
大阪で商売をされていても皆さんの様なすばらしいの技術を持った企業なら、十分関東の企業と競争して、
全国から受注する事が可能だと思います。

ただし、それは全国の得意先がわれわれの事を知っていればの話です。

情報発進のコツ

では、自社のホームページを開いたとします。
どうすればお客様が、日本中に「海岸の砂ツブの数」程有るホームページの中から自社のホームページを
見つけてくれるのでしょうか?

それには「検索サービスのしくみ」を知らなければ成りません。

インターネット上で、提供されている情報を探す場合、まず利用するのが検索サービス
または、デイレクトリサービスといわれるサイトです。主なものは資料E−Dに書いてありますが
ヤフー・ジャパン」や「インフォシ―ク・ジャパン」や「グー」などです。

その検索サーバーを利用する場合は、検索したい内容に関係する複数個のキーワードで範囲を広げたり絞りこんだりする事で目的のページをさがしだす確率を上げていきます。

つまり、お客様は、検索サービスを利用して、欲しい情報のキーワードを元に探して行かれます。
例えば、精密金型を作っている企業をさがしだす場合「精密金型」と言うキーワードを使います。

ですから、我々は、客先が探しているだろう「キーワード」をあらかじめ予測しておきます。
金型屋さんなら「プラスチック金型」などのキーワードを付けておきます、
特に大型精密金型が得意であれば「大型精密金型」といったキーワードも良いでしょう。

すると、お客様が検索サービスを利用して検索すると、何万と有るホームページから絞りこんでくれます。
真剣に加工先を探されているお客様なら、絞りこまれたホームページを一件一件開いて見られるはずですから、
そのホームページ上に有益な情報、得意技術などを宣伝しておく事です。

でも、この時に、単に「金型加工屋です。ええ仕事しまっせ」では駄目なのです。

他の金型屋に対して「ここが他の企業とは違いますよ」「こんな自社技術が得意です」と
他社との差別化が明確に表現できていなければ成らないのです。

そうしないと、そのホームページは、「海岸の砂ツブ」に逆戻りしてしまいます。

もう皆さんは、お分かりだと思いますが、1部でお話しした「自社技術・固有技術の大切さ」を、
しっかり理解して実行しないと、いくら「情報発進」しても、お客様に探してもらえないと言う事です。
 

来るべき情報化時代に向かって

私どもの会社も、この5ヵ月ほどで7件の問い合わせが有りました。
たった7件と思われるかも知れませんが、考えてみてください私どものような製造業は
年間1社か2社でも良いから確実に得意先を増やす事が出来れば、有る程度満足が持てるのではないでしょうか?

「商品の販売」であれば、1日何十何百と言う問い合わせが必要ですが、われわれ製造業の場合は
継続発注がもらえる得意先を、年間数社ずつ増やして行けばそれでいいと思います。

我々、中小下請け製造業にとって、今後、インターネットビジネスが”有利”になって来ると思う要因は
大手販売メーカーが、不特定多数の人を対象にインターネットビジネスを考えねばならないのに対して
我々は、本当に限られた人にだけ(例えば、研究者や設計者、資材担当者)に見て頂くだけで良い、と言う事からです。

資料Gをごらんください。

これは、資料Fの表の一番に出ている 「NCネットワーク」さんのアンケートの結果です。

注目は、最後の2行です。

「中間報告   受注額100万円以上5件のうち3件は1000万円以上との事。ホームページの威力は予想以上であった
自社製ホームページを持つ企業の受注獲得率が高いのは自社の強みを適格にPRできるからと思われる」

日本中の多くの「商品を販売する企業」にとって月100万円の売り上げがあれば大成功と始めにお話ししましたが、
たった51社のなかのアンケートでも、インターネットを使って100万円から1000万円以上売り上げの企業が有る事に注目してください。

ここがわれわれ、製造業者の強みです。

理由は、もう一度言いますが、われわれは不特定多数のお客様を相手にする必要が無いからです。

自社技術が優れていれば、お客様から継続的に受注が頂く事が出来るからです。

「われわれ製造業者にとってインターネットは金になるのか?」この答えは
現在、はっきりとは私自身答えを見つけていません。

しかし、その可能性は十分に有るのではないでしょうか?

また、来たるべき「情報化時代」では自社技術を見直す必要がますます高まって来ると思います。

「会社の個性」や「自社技術・固有技術」が、もっともっと必要となって来ます。

情報と言う「砂ツブ」の中でキラリと光らなければ成りません。
そうしないと情報の中から探し出してもらえないからです。

自社の得意な技術は何か?そのキーワードは?
自社の固有技術は無いか?また そのキーワードは?

今一度見つめ直してはいかがでしょうか??

そして、その答えは皆さん自身が探し出さなくては成りません。
 

長時間のご静聴ありがとうございました。
 
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